腰部脊柱管狭窄症手術前に必ず知っておきたい13のリスクと後遺症

脊柱管狭窄症手術のリスク

腰部脊柱管狭窄症の手術はリスクが伴うのが現実です。

私も脊柱管狭窄症の手術を行う決意をしたものの、実際に担当医師から手術20日前に手術に伴う合併症の説明を受けた時「本当にこのようなリスクがある手術を受けて大丈夫なのだろうか?」と思ったのが正直なところです。
※説明を受けた後に手術を中止・延期することも可能でしたが、最終的には手術を受けることとなりました。

今回は、私の脊柱管狭窄症手術(正式手術名:腰椎固定手術)で説明を受けた、13項目の手術のリスクと後遺症の可能性についてまとめておきます。担当医師からは、あくまで代表的な合併症を13項目説明するだけで、これ以外にも事前に予想できない合併症が生じる可能性はあると説明を受けました。

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手術中に発生するリスク

脊柱管狭窄症 手術

リスク1:神経・硬膜損傷(発生確率約2.8%)

背骨の手術では、神経とそれを包む硬膜があり、手術操作(骨を削る、膜をはがす、靭帯を取り除く、神経をよける、椎間板をとる、金属を固定するetc…)は常に神経の近くで行われます。さらに、人によっては正常ではない骨の形、ズレ、捻れ、欠損などにより、神経が骨に覆われていない例も見られます。このため、手術中はいつでも神経や硬膜が損傷する危険性があり、神経や硬膜を損傷しないように細心の注意を払います。

硬膜は周囲の人体や骨軟部組織と癒着を生じていると、骨を削る場合や靭帯をはがすときに破れることがあります。破れた場合は脳脊髄液が亀裂部から流出してきますので、細い糸で縫い合わせてフィブリン糊という血液製剤の一種を上からふりかけます。その場合、3日~2週間程度の安静が必要となります。

神経が損傷された場合、圧迫によるものでは回復を待つか、再手術により圧迫を取るといったことが行われます。術後に悪化した麻痺、痛みやしびれは、ほとんどの場合一過性のもので、1週間~数か月程度の経過で回復が見込まれます。しかし、神経の損傷が強い場合や切断されたような例では、痛み、しびれや麻痺が永久的に残ることがあります。十分に注意された手術でも、このようなことが起こる危険性が常にあります。

リスク2:創部感染(発生確率約1~2%)

一般的に膿む、化膿すると表現されるものです。手術は清潔な環境下で実施されます。また、感染予防のため創を閉じる前には手術創の十分な洗浄を行い、術後には2~5日以内の抗生剤の投与を行います。ただし、創の消毒は創の治癒を遅らせることがあるので、毎日は必要ありません。

一般的に、高齢者糖尿病でコントロールが悪い人免疫力が低下している人再手術放射線治療後透析が長い人長期間寝ていたためにお風呂に入れなかった人虫歯などの感染が体にある人には、感染の発生例が多くみられます。

感染は手術後1週間前後で判明してきますが、感染が疑われ次第再度抗生剤を使い、創を開いて膿を出す、生理食塩水で洗う、膿や汚いものを取り除く、持続的に洗浄する装置をつけるといった手術が必要になります。場合によっては創をあけたままにしておき、創の中から菌が出なくなってから傷を閉じることもあります。

術部を金属で固定している場合は、手術室で創の中をきれいにしますが、感染が治らない場合には金属を抜かなくてはならない場合もあります。さらに、全身に感染が及ぶ場合には(敗血症といいます)厳重な全身管理を要することがあります。そのため、感染は背骨の手術では最も怖い合併症の一つで、一旦感染が起きると入院が長引きます。

リスク3:術後血腫(発生確率約5%)

筋肉をはがして骨や靭帯を削った後には手術前には存在しなかった空間が生じ、ここに出血した血液が貯まります。そのため、術後1~2日間は出血が貯まらないように管が入っていますが、出血が多い場合には延長する場合もあります。

管は創の中からの出血が1日50ml以下になってから抜きますが、その後もじわじわと出血が続き血液が貯まると、血の塊ができて神経を押すようになり、お尻や足に神経痛や麻痺が出るようになります。一般的に高血圧金属を使用するような大きな手術内視鏡を用いた狭い空間の手術高齢抗凝固剤を使用している人肝機能障害がある人に多く見られます。

痛みや麻痺が強い場合や手術後1~2週間しても良くならない場合には、再手術により血の塊を取り除く必要があります。再手術により血の塊が取り除かれると、比較的速やかに痛みは軽減します。

リスク4:外側大腿皮神経障害(発生確率約2.2%)

うつぶせの手術を行う例では、手術の際の体位(胸と骨盤が4つの台に乗っている)により足の付け根が強く圧迫されることで、太ももの外側に向かう細い神経が圧迫されることがあります。

一般的に体重が重い方、非常に痩せている方、手術時間が4時間以上に及ぶ方に多く見られる傾向にあります。通常、手術後より太ももの外側にしびれ、感覚障害がみられますが、手術後2~3ヵ月以内に軽快する例が殆どです

リスク5:スクリューの誤刺入

首、背中や腰の手術でスクリュー(ボルトやねじとも言う)により骨の固定をする場合、スクリューが通常より内側に向かい神経の枝に当たってしまうことがあります。当たると神経痛や麻痺がでます。

手術後にこのような神経痛や麻痺が出た場合、レントゲン写真、CT、MRIを用いてその原因を探りますが、スクリューが問題である場合には、再手術によりスクリューを入れ直すか抜くようにします。

そのことにより神経痛はやわらぎ、麻痺は神経損傷の程度によりますが改善の方向に向かいます。一般的に、小さな体の方骨が小さな方骨が捻じれている方背骨の変形が強い方ではスクリューが入る場所が狭いため、その危険性がより高いと言われています。

リスク6:出血

手術部位からのじわじわ出る出血が多かったり、手術部位にある太い血管が損傷されることにより大量の出血をみることです。

血液が止まりにくい薬を飲んでいたり、再手術例や太い血管がある首や背中、腰の前からの切開による手術や、側弯症のような切開・展開が広くなされる手術でみられる可能性があります。手術中や術後の輸液や輸血で対応しています。

輸血については、輸血療法に関するリスク説明も同時に受けました。詳細はこちらをご参照ください。
>>脊柱管狭窄症手術で受けた輸血療法の概要

手術後に発生するリスク

リスク7:固定性不良

お年寄り骨粗しょう症の方リウマチステロイドの内服をしている方骨の変形や破壊が強くみられる方では、金属を使用して固定した場合、骨自体の強度が弱いために手術部位の固定性がよくない例が見られます。

その場合、固定部が崩れてきたり、金属が沈み込んだり、金属が外れてきたり、背骨の形や配列が変わってくることがあります。これらの変化に伴い痛みや麻痺などの問題が起きた場合には、再手術を要することがあります

リスク8:人工物(インプラント)の折損

脊椎の固定術の際に体内に埋め込む器械(金属)のことをインプラントと言います。インプラントは各医療機器メーカーが開発して、国の厳格な審査のもとその使用が認められたものですので、通常は永久的に体内に埋め込んでおいても問題はありません。

しかし、インプラントを埋め込んだ箇所に外力が繰り返してかかりますと、時として金属疲労のためインプラントの折損が生じる場合があります。インプラントの折損が生じるのは多くの場合退院して日常生活に復帰されてからです。

インプラントの折損が生じると、インプラントを除去したり入れ替えたりする必要がある場合と、そのまま放置して問題がない場合とがあります。

リスク9:骨がつかない

脊椎固定術は自分の骨を他の部位から移植して、力学的に不安定な椎骨と隣の椎骨を癒合させる手術です。その目的を達成するためにインプラントを使用したり、術後はハローベストやギブス、コルセットなどの外固定を併用したりします。

しかし、骨を再生させる能力には個人差があり、一般的に骨につかない例は、骨粗しょう症のある方お年寄り喫煙者透析を行っている方術後安静度が不徹底の方に多く見られる傾向があります。さらに、骨癒合が達成されるかどうかは、移植された骨の周囲の環境(血流・栄養や力学的安定性)にも大きく左右されます。

喫煙は移植骨周囲の血流を阻害する作用を持つことが報告されていますので、固定術(骨移植術)を受けた方は喫煙をできるだけ避けてください。骨盤などからの骨を移植しても手術部位の骨がつかなくて、痛みが出る、骨が変形するといった症状が出てくる場合には、再手術を行う必要性があります。

この場合、初回手術に比べ手術自体が著しく困難で合併症のリスクも増すことが予想されます。

リスク10:固定上下での障害出現

骨盤からの固定術や金属を使った固定術をした場合、固定部位の上や下に負担が加わりその部位の変形による痛み、圧迫骨折の発生、ズレの発生、椎間板ヘルニアの出現による神経症状、麻痺が出てくることが予想されます。

一般的に手術後かなり経過してもこのようなことが起きる例があるので、1~2年に一度の定期的チェックが必要です

リスク11:しびれが残る

首や腰の患者さんの中には、手術前に手や足がしびれる症状が認められる事があります。このしびれは神経が傷んだことによるものですが、手術により良くなる場合と変わらない場合があります。

一般的に、手術までに長い間しびれがあった患者さんや、じっとしていてもしびれがある患者さんでは、神経の痛み方が強く手術後もしびれが残る可能性が高いと考えられています。一方、まだしびれが出るようになって間もない患者さんや歩いたり立っているとしびれてくるような患者さんでは、手術によりしびれは取れやすいとされています。ただ、神経の痛み方は手術前に正確に評価できないことから、担当医からはしびれは手術してみないとわからないと説明されることが多いのが実情です。

リスク12:術後せん妄(発生確率約13.1%)

高齢者の20%程度几帳面な方A型頑固な方に多い傾向があります。

手術後3~7日間、看護師の言うことが守れない行動をとり、自分で座ったり立ったり歩いたりされます。会話は部分的に成立するのですが、この間のことは本人が覚えていないことが多く、後で知らされて恥ずかしい思いをするようです。

通常、麻酔の影響で脳の代謝が正常ではなくなり抑制が外れることが原因と解釈されています。手術後1週間以内に治りますので、基本的には問題はありませんが、安静を守れないことで出血が多くなる、血腫ができやすくなる、転んで骨折するといった問題が発生することがあります。

リスク13:深部静脈血栓症(発生確率約0.9%)

動脈硬化症・高血圧・肥満・喫煙者・下肢静脈瘤・高齢・安静臥床などが危険因子となります。

脊椎手術後の深部静脈血栓の発生確率は15%前後で、そのうち有症性のものは約0.9%、致死性のものは約0.1%以下と報告されています。これに対しては、術中、術後の弾性ストッキングあるいは間欠的空気圧迫法により血栓予防を行っています。

仮に血栓により脳・肺・心臓の主要な血管が詰まった場合には、脳梗塞・肺梗塞・心筋梗塞といった重大な病気に陥ることになり、場合によっては致死的な状態に陥る可能性があります。

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意外と多い合併症のリスク

以上が、私が腰部脊柱管狭窄症の手術を受ける際に医師から説明を受けた、13個の手術によるリスク・後遺症についての説明です。

これだけ聞くとなかなか恐ろしいように聞こえますが、実際に体を切って金属で固定をする手術を行う際には、このようなリスクとはどうしても隣合わせになると聞かされました。

実際に私も、リスク3の術後血腫の管は手術2日後の午後に外れましたし、リスク13の深部静脈血栓症対策として手術1日後から継続的に足のストレッチやマッサージなどを繰り返しました。

事前に自分の体に及ぶリスクをきちんと把握して手術を受けることで、術前の心づもりにもなりますし、術後の経過がどのように進むのかもイメージがつくかと思います。

これから手術を受ける予定の方は、是非参考にしてみてください。

脊柱管狭窄症狭窄症の手術をする前に

脊柱管狭窄症手術は費用・時間・手術のリスクが伴う大きな決断です。また、術後の経過次第では再手術を余儀なくされる人も少なくありません。脊柱管狭窄症手術をする前に、適切なトレーニングで手術を避けられないか、必ず一度は試し頂きたい内容をまとめました。

>>脊柱管狭窄症改善・対策にオススメの鍼治療とストレッチ厳選4つ

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手術はとても大変でした
脊柱管狭窄症手術を受ける前に

脊柱管狭窄症は、症状が重くない段階では、適切な改善方法を実践することで症状を改善・完治することが可能です。私のように症状が重度になり手術を受ける前に、是非一度参考にしてみてください。

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